Gemini in Gmail side panel によるメール整理機能を試す(2025.5.20更新)

Gemini

最近、Gemini と Google Workspace の連携について「仕事がどんどん便利になる!」といった記事を多く見かけます。確かに、私自身もかなり期待しています。しかし、本当にコレって使えるものになっているのでしょうか。今まで(生成AIに限らず)世の中で「すごい」と騒がれているツールを触ってきたけど、実際に試してみたら「いや、コレ、確かに動きはするけどさ…仕事で使えるレベルじゃなくない?」って事って数多くありました。「もうネットの煽りはウンザリなんだよ!」という人間不信な私なのですが、とりあえず試してみる事にしました。

Gemini と Gmail

試す前に1つ、基本的な事を書いておきます。Google Workspace には Gmail とか Google Drive とか色んなサービスが含まれています。各サービス毎に Gemini を使ういくつかの方法が用意されています。例えば Gmail の場合、 Gemini を使う方法は大きく分けて2つあります。

  • メール執筆時に文章案を書いてくれる( Help me write )
  • Gmail のサイドバーから Gemini に依頼を投げる方法( Gemini in Gmail side panel )

今回は Gmail を後者の形で試してみます。

尚、Gemini for Google Workspace について1つだけ、基本的な事をおさえておきましょう。現在、Gemini + Google Workspace は完全に日本語対応しているわけじゃありません。対応状況については、Supported languages for Gemini for Google Workspace というページに詳しいので、自分がやってみたい機能って日本語対応しているのか?ってことについては、こちらのページを見るようにしましょう。

では、実際に試してみましょう。

直近1週間で返信できていないメールを優先度順に並べてください

ぶっちゃけ私はそうなんですが…1日にくるメールの量がすごいもので、どうしても返信が間に合わない事があるんです(本当にスイマセン…頑張って返信します)。メールって、正直あんまり重要じゃないメール(失礼でスイマセン)と、重要なメールが混在しちゃってて、一度たまってしまうと、何から優先的に処理すればいいかわかんなくて、かなり困ってしまいます。

そんなときに、Gmail の画面の右上部にある ✦ みたいなマークをクリックして、Gemini in Gmail side panel を登場させて、ソコにこんな依頼を打ち込んだら、取り急ぎ、重要なメールをピックアップしてくれる…そんな機能があったら、ホント、夢見たいです。

直近1週間で返信できていないメールを優先度順に並べてください。

というわけで早速打ち込んでみました!

優先度を「重要」ラベルで判定してる…

結論からいうと、あまり上手に私が見たいのはこのメールじゃない!っていうメールをリストアップしてきました。

  • そもそも「直近1週間」じゃないメールをピックアップ
  • 優先度順って言葉を、『「重要」ラベルがついている』と解釈してピックアップ(そもそも、この『重要』ってラベルも、Gmail がテキトーにつけちゃったりするヤツですよね…)
  • 自分が他人に出したメール、他人から自分に来たメールを区別なくピックアップ

んー。これだと使えません。最初の問題は「もしかして『直近1週間』って日本語がうまく理解できないのかな?」と思ったので、Gemini 君がもっとも得意であろう英語に訳して、依頼を投げ直してみました。

Please list the emails you have not responded to in the last week in order of priority.

結果は変わりませんでした。Gemini さんはまだ「期間を限定して抽出する」という能力がないのかも…。

2番目、3番目の問題に対応するために、今度はこんなプロンプトを投げてみました。

from が<私のメアド>であるものを除いたうえで、to に<私のメアド>が含まれるもののうち、受信トレイに存在し、直近1週間で返信できていないメールのうち、私からの返信が必要であるものを、文章の内容だけで判断(ラベルは見ない)した上で、リストアップしてください。

コレを投げると2回に1回ぐらいは動きます(動かない時は、全く同じ依頼を投げても「エラーが起きた」とか「私はまだ学習中でコレはできない」とか言い出してサボります)。そして3番目の問題には見事に対応し、自分宛に来ているメールだけリストアップしてくれます。

ただ、正直にいうと、あまり精度はよくないです。正直、重要じゃないものの方が多いし、過去何年にも遡って1000件ぐらいリストアップしてきます。そんなに読まないよ…っていう。

ただ、依頼文(巷でいうところのプロンプト)を修正すれば、少しずつ機能改善する事はわかったので、この調子で依頼文をより限定的・より明確にして…ってやっていくと、少しずつ改善はします。しかし…正直、「これなら仕事につかえる」って精度には到達できませんでした。

それに、ここまで長い依頼文を書いてる間に「メール読んだ方が早くね?」って話になってしまう気が…。(まあ、本当に再現性良く、精度の高いプロンプトを記述できるならば、それを取っておけば、あとはコピペすればいい…って話にはなるんでしょうけど。)

私の結論:今の Gemini にメール整理をさせるのは難しい

「Gemini が重要なメールをリストアップしてくれるんで、ムチャクチャ効率がアップしましたー」みたいな主張のブログとか動画をつくって公開している人はいらっしゃいます。誰…って言っちゃうと他の人の批判につながってしまうので明言は避けますが、うーん、私としては「ソレ、本気で使おうと思って試したのかなあ…」と疑問を抱いてしまいます。少なくとも今の精度・今の再現性では、私には「仕事で使える」ものとは思えない…ってのが正直な気持ちです。

もちろん、「それはお前のプロンプトがシケていうだけなんじゃない?」って話もあります。実際、私も(まあ、結構な試行はしましたが)人間が思いつく全てのプロンプトを入力して評価したわけではないので、私の検証がダメダメだったって可能性は大いにあります。でも、少なくとも私が見たブログや動画の人が試しているようなプロンプトだったり、私が試した上記のようなプロンプト(+そこからさらに発展させ、より詳細の指定をしたプロンプト)では、私が「仕事で使いたい」と思えるようなレベルには至らなかった…ってのが本当のところです。

よって、私の結論としては「今(=調査日は2025年2月1~4日あたりに1回、その後、2025年5月20日に1回)の Gemini にメール整理をさせるのは難しい」とします。

…とはいえ、これはあくまで現時点での話。Google さんも一生懸命、Gemini を鍛えていくでしょうから、もうちょっと経てば使えるものになっていく可能性はあります(実際、2025年2月の調査と2025年5月の調査では、「ちょっと厳しい」という結論は変わらないものの、出力内容は変わっていました)。また、私は Gemini in Gmail side panel のすべてがダメだとは限らないと思っています(そう思いたい!)。他の機能についても試しながら、本当に『使える!』ものがあるのか模索して、皆さんにも「コレは良い」「コレはダメ」を紹介していければと思います。

コメント