Gemini in Gmail side panel によるメールからのタスク抽出は未来を感じる(2025.5.20更新)

Gemini

世の中、オフィスソフト+生成AI という文脈ですと Microsoft 365 + Copilot の方が注目されているようにも感じます。が、基盤として Google Workspace を採用している会社だって数多くある(当社もその1つ)わけで、Gemini for Google Workspace にはアツく期待しております。ただ、巷に広がる「こんな事できちゃいました」の記事には辟易しております。というのも、「それ、仕事、楽になってないだろ」「本当に仕事で使う事かんがえて試してるのか?」って内容が多いからです。けしからん! しかし、私もそんな「本当に仕事で使う事考えて試してるのか?」という記事を世の中に1つ増やしちゃいます。今日は Gemini に「Gmail からタスクを抽出する」という事をやらせてみました。

この記事では Gemini in Gmail side panel を使います

Gmail から Gemini を活用するために用意されている機能は「Help me write」と「Gemini in Gmail side panel」の2つです。今回も今までの記事同様、後者を用います。

Gemini for Google Workspace に挑戦するとき大事なポイントの1つが「自分が試そうとしているアプリとの連携は、日本語に対応しているのか?」という事です。例えば 2025年2月6日現在、Google Meet + Gemini は日本語に対応していません。(きっと、いつか対応してくれるはず!待ってます。)2025年4月には、Google Meet も 対応してくれていました!ありがとう、Google。尚、対応状況は Supported languages for Gemini for Google Workspace というページに載っています。確認するようにしましょう。

メールからタスクを抽出したいなら「アクションアイテムを一覧表示」ボタンを押しましょう

チームで仕事を進めていく以上、自分が担当する役割・自分に振られたタスクは確実にこなしたいものです。そのためにはまず「自分のタスクって何だっけ?」って事を明確にしなければなりません。やるべき事を知らずして、タスクはこなせないのです。

現在、社内のコミュニケーションにメールを使っている…って企業は少ないと思います。Google Workspace ならば Google Chat でしょうし、他にも Slack とか、チャットワークとか、いろんなツールがあります。社外の人はどうでしょうか。コレ、案外、メールにタスクが書いてあることがあるのですよね。よって、『メールからタスクを抽出する』ってのは、日頃、自然とやっていたりします。これを我らが Gemini さんがやってくれるというのだから、驚きが隠し切れません。

具体的な手順です。まず Gmail で対象となるメールを開きましょう。その後、Gmail の画面の右上部にある ✦ みたいなマークをクリックすれば、Gemini in Gmail side panel が開きます。ここで開いたサイドパネルを見ると、以下のボタンの存在に気づきます。

アクションアイテムを一覧表示

何の事かよくわからないのですが、おっかなびっくりこのボタンを押してみます。すると、何とメール本文からタスクを抽出してくれるのです。

「精度100%!」とまでは言えないが、それなりにリストアップしてくれます。

試しに以下のメールを要約させてみました(実際に受け取ったメールなのですが、固有名詞だけ変換しています)。

株式会社D4cアカデミー
和田様

いつもお世話になっております。
ニコニコ社労士事務所のタナカでございます。

雇用保険の加入手続きが完了いたしましたので、公文書をお送りさせていただきます。
また、賞与支払い届の公文書も合わせてお送りさせていただきます。

(被保険者用)はご本人様へお渡しくださいませ。
お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

ここからタスクを抽出した結果が以下です。

このメールのアクション アイテムを一覧表示して

  • 和田社長は、従業員に(被保険者用)の書類を渡す。

合ってますね。こちら、メール20件ぐらいに対して試してみましたが、2~3割ぐらいの確率で「まだ学習中のため、このリクエストにはお応えできません。他にお手伝いできることはありますか?」みたいなナゾのメッセージを唱えてくることがありますが、答えてきた内容は、そこそこ精度が高い(=私個人として「大きく間違えてはいない」と思える)です。

(追記:2025年2月5~6日時点では2~3割の確率でエラーでしたが、2025年5月に試したところ、10回トライして、1回もエラーになりませんでした!)

サイドパネルにタスク一覧を出されても…って気持ちにはなる。

機能する事はわかりました。「機能する」なんて言ってはおこがましい。ちょっと感動できるレベルです。コレは積極的に使うべし!と思ったのですが…

正直言って、Gmail のサイドパネルにタスク一覧を出力されても、そのあとどうすればいいの?って話にはなりますよね。直接、TODOリストに突っ込んでくれる…とか、せめてスプレッドシートにまとめてくれる…とか、そうならないと、ちょっと困るってのはあります。でないと、私としては「以下の2択、どっちが速い?」って話になっちゃうのです。

  • Gmail のサイドパネルを出してから、「このメールのアクション アイテムを一覧表示して」と依頼を出して、出てきた結果を、どっかのタスク一覧表にコピペする。
  • 自分でメール読んで、どっかのタスク一覧表にタスクを書き込む。

今のところ、後者の方が早いですかね。そもそもタスクの依頼が書いてあるメールって、短文の事の方が多いです。長文の最後の方にタスク書かれても…「見逃せ」って言われている気すらします(もちろん、そうせざるを得ない事もゼロではないのだけど…)。そういう状況ですと、メール読むのはそこまで苦ではありません。困ってるのはメールを読んだり、タスクを抽出する事ではなく、「抽出したタスクをどこかに取りまとめる」事だったりします。

そして、もう1つ課題があります。

いちいちメールを開かないと、タスクを抽出してくれない…。

これがとても面倒です。いちいち1件1件メールを開いて、サイドパネル出して、タスクを抽出して…って、それこそ人間の仕事のようには思えないのです。オマエ(Gemini)のタスク抽出能力は認めるので「メールを開くアクションを私にやらせる」というダメ仕様をどうにかしてくれ…と思いました。

何度も言いますが、タスク管理に関していえば、(多くは短文メールで、Geminiによる抽出よりも、人間による読み込みの方が速くて)時間的なボトルネックは「メールからタスクを抽出する」事ではなく、「メールを開く」「読み取ったタスクをどこかにまとめる」って事なんです。

ただ…それって、技術的にはハードルは低いと思います。要は勝手にメールを1件1件スキャンした上で、タスク管理用のスプレッドシート or Google ToDo リストにでもタスクをまとめておいてくれればいい…って話ですから。近日中に絶対に実装されると思います。(2025年2月6日時点では未実装だが…2025年5月20日時点でも未実装だが…)

私の結論:今は未熟だけど「メールからのタスク抽出」は必ず仕事の助けになる。未来は明るい。

Gemini によるタスク抽出は、それ自体の機能としては成立してます。あとは「いちいちメールを開かないといけない状況を改善する」「抽出したタスクをどっかにまとめる」だけです。そこさえクリアすれば、コレはいよいよ、マジで使えると思います。今はちょっと厳しいけど…未来は明るいです。

もっと言うと、Google Chat(こちら、内部的には Gmail にデータが貯まっている)でのやり取りもタスク抽出の対象にできると思います。メール+チャットで飛んできた依頼を自動的にタスクリストにまとめておいてくれる…そういう未来はもう遠くないと感じました。2025年2月6日時点ではデキてない(2025年5月時点でもできていない)けど…正直、来月にリリースされていてもおかしくないってぐらい、技術的なハードルは低いと踏んでます。

Gemini + Gmail って意味では、この機能が近い将来、目玉になると思いました。楽しみですねえ。

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