文章作成ソフトウェアっていうと、まあ、Microsoft Word のシェアが高いのかな…と思います。一方、Google Docs もなかなかいいかなーと思っています。Word もクラウド利用ができますが、元々 PC のソフトウェアだったモノをクラウドサービス化したものと、クラウドネイティブな Google Docs を比べると、Google Docs の方が良くも悪くもクラウド感があります。慣れると使い心地は悪くなく、業務でも使う機会が出てきたなーという感触。そんな Google Docs が生成AI Gemini とガッチリ結びついた…という事ですので、果たして Gemini + Google Docs は「使える」のか? このあたりについて、考えていきたいと思います。今回はまず、どの程度の性能が出るのか?って事について考えたいです。
この記事では Gemini in Docs side panel を使います
Google Docs で Gemini を使う方法として、以下の3通りの機能が用意されています。
- Help me write(文章作成サポート):作りたい文章を与えて、ひな型を作成する。
- Help me create(ドキュメントを生成):材料(テーマ、参考にするファイル等)を与えて文章を作成する。
- Gemini in Docs side panel:docs のサイドパネルから Gemini を利用する。
Gemini in Docs side panel は docs のサイドパネルを立ち上げて Gemini と会話しながら作業を進めていきます。Google Docs の右上にある ✦ マークをクリックするとサイドパネルが開きますので、あとは、用意されているボタンを押すなり、依頼文を書くテキストボックスに依頼文(プロンプトなどと呼ばれます)を書いて投稿するなりすれば Gemini に色々と依頼できます。
(2025年5月20日時点)上述のボタンですが、2025年2月時点では「予め用意された依頼文をテキストボックスに入れる」という機能だったのですが、2025年5月時点では「ボタンを押したら、そのままプリセットされている依頼に対応し始める」という機能に変わっていました。例えば「ブログを執筆する」というボタンを押すと、常にファッションに関するブログを執筆してしまいます。(おそらくこのままでは、まともに使える人は居ないと思うので、そのうち改善するものと思いますが…現時点ではそのような機能になってしまっています。)
尚、アプリに関わらず Gemini for Google Workspace に挑戦するとき大事なポイントの1つが「自分が試そうとしているアプリとの連携は、日本語に対応しているのか?」という事です。対応状況は Supported languages for Gemini for Google Workspace というページに載っています。確認するようにしましょう。
空のドキュメントを立ち上げて「ブログを執筆」を押しましょう
性能を確かめるにあたり、今回は「ブログを執筆」させてみましょう。
早速使っていきます。まず Google Docs で空のドキュメントを開きましょう。その後、Google Docs の画面の右上部にある ✦ みたいなマークをクリックすれば、Gemini in Docs side panel が起動します。立ち上がったサイドパネル内の「他の候補を表示」を押しますと、以下のボタンの存在に気づきます。
ブログを執筆
(2025年2月時点では、このボタンは機能したのですが、2025年5月時点においては)このボタンを押してはいけません(押すとプリセットされた「この秋のファッション イベントに関するブログ記事を書いて」という依頼が入力されてしまいます)。ここでは…
この秋のファッション イベント に関するブログ記事を書いて
…を見本としつつ、この青字の部分を、自分が好きなテーマに変えたものをテキスト入力ボックスに記入して、送信しましょう。(2025年5月時点ではこのような状況になっていますが…おそらく近いうちに改善されるものと思います。)
適当なテーマを入れてみると、確かにブログっぽい文章が出力されます。
「この秋のファッションイベント」をテキトーに変えて、実際に何か書かせてみましょう。とりあえず、以下のように依頼してみます。
メラビアンの法則 に関するブログ記事を書いて
結果、出てきたのが以下の文章です。
メラビアンの法則:コミュニケーションにおける真実
コミュニケーションにおいて、言葉だけが全てではありません。メラビアンの法則をご存知でしょうか? これは、人の第一印象は、言葉の内容よりも、視覚情報や声のトーンなどの非言語的な要素に大きく左右されるという理論です。
メラビアンの法則:3つの要素とその割合
メラビアンの法則によると、コミュニケーションは次の3つの要素から構成され、それぞれが相手に与える印象への影響度合いは異なります。
- 視覚情報 (55%):表情、身だしなみ、姿勢、ジェスチャーなど
- 聴覚情報 (38%):声のトーン、抑揚、速さ、音量など
- 言語情報 (7%):言葉そのものの意味、内容
メラビアンの法則が示唆すること
メラビアンの法則は、コミュニケーションにおいて非言語的な要素がいかに重要であるかを教えてくれます。特に、第一印象を形成する際には、言葉の内容よりも、表情や声のトーン、身だしなみなどが重視されるのです。
メラビアンの法則をビジネスに活かす
メラビアンの法則を意識することで、ビジネスシーンでのコミュニケーションを円滑にすることができます。
- プレゼン:堂々と自信を持って話す、身だしなみを整える、アイコンタクトを意識する
- 営業:笑顔で接する、相手の話を熱心に聞く、声のトーンに注意する
- 会議:姿勢を正す、積極的に発言する、相手の意見に耳を傾ける
注意点
メラビアンの法則は、全てのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。状況や相手によって、言葉の内容が重視されることもあります。また、3つの要素の割合も、研究によって異なるとされています。
まとめ
メラビアンの法則は、コミュニケーションにおける非言語的な要素の重要性を示す理論です。第一印象を良くするためには、表情、声のトーン、身だしなみに気を配ることが大切です。ただし、言葉の内容を軽視してはいけません。状況に応じて、言葉と非言語的な要素をバランス良く使い分けることが、効果的なコミュニケーションの鍵となります。
おー、なんかソレっぽいですね!
でも、コレだけだったら Gemini 単体に書かせたものをコピペするとか、何なら他社製品、例えば ChatGPT に書かせたものをコピペしても同じですよね。
Gemini in Docs side panel のチョット良いところは、書いてもらった文章の最後についてる ↖ マークをクリックすると、Gemini の記載した内容を、そのまま Docs に挿入できるのですよね。挿入したら、ちょっと編集して…って作業が可能になります。これは Gemini 単体ではできない事です。(ただ…他の記事で説明予定の Help me write や Help me create を使えば、もっと直接的に実施できます。)
ちょっとしたニュアンスだったり、要望を足してみる事も可能。
こんな感じで要望を足す事も可能です。
実例を交えながら、メラビアンの法則に関するブログ記事を書いて
「実例を交えながら、」を追加しただけなんですが、Gemini 空の回答は以下のように変わります。
メラビアンの法則:言葉だけじゃない!コミュニケーションの秘訣
「人は見た目が9割」なんて言葉もありますが、コミュニケーションにおいても、言葉だけが全てではありません。メラビアンの法則をご存知でしょうか?これは、人の第一印象は、見た目や声のトーンなどの非言語的な要素に大きく影響されるという理論です。
メラビアンの法則:3つの要素とその割合
メラビアンの法則によると、コミュニケーションは次の3つの要素から構成され、それぞれが相手に与える印象への影響度合いは異なります。
- 視覚情報 (55%):表情、身だしなみ、姿勢、ジェスチャーなど
- 聴覚情報 (38%):声のトーン、抑揚、速さ、音量など
- 言語情報 (7%):言葉そのものの意味、内容
つまり、話の内容よりも、表情や声のトーン、身だしなみの方が相手に与える印象を大きく左右するということです。
メラビアンの法則の実例
例えば、あなたが上司に仕事の進捗を報告するとします。
- ケース1:自信なさげに、うつむきながらボソボソと話す。
- ケース2:笑顔で、ハキハキと、身振り手振りを交えながら話す。
同じ内容の報告でも、ケース1では「本当に大丈夫?」と不安を抱かせるのに対し、ケース2では「順調に進んでいるんだな」と安心感を与えるでしょう。
メラビアンの法則を意識してコミュニケーションを改善
メラビアンの法則を意識することで、コミュニケーションを改善することができます。
- 表情:笑顔を心がける、相手に興味を持って話を聞く姿勢を見せる
- 身だしなみ:清潔感のある服装、相手に不快感を与えない服装
- 姿勢:背筋を伸ばす、相手に体を向ける
- 声のトーン:明るくハキハキとした声、相手に合わせた声の大きさ
- ジェスチャー:適度な身振り手振り、相手を威圧しないジェスチャー
注意点
メラビアンの法則は、全てのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。重要なのは、状況や相手に合わせたコミュニケーションを心がけることです。
まとめ
メラビアンの法則は、コミュニケーションにおいて非言語的な要素が重要であることを示しています。表情、身だしなみ、姿勢、声のトーン、ジェスチャーなどを意識することで、相手に良い印象を与え、コミュニケーションを円滑に進めることができます。
ちょっと実例が加わってきました。要望は聞いてくれているようです。悪くないですね。悪くないんですが…
そもそも書いている内容が間違ってるよ!
Gemini が出力した内容って、これ、確かに通説ではあるんですが、誤りなんですよね。メラビアンの法則って「言語コミュニケーションと非言語コミュニケーション(声のトーン、ボディランゲージ、表情)に不一致が生じた場合、受け手は非言語コミュニケーションの方を、言語コミュニケーションよりも重視します」(詳細は例えば Wikipedia の「アルバート・メラビアン」「メラビアンの法則」あたりを参考にしましょう)という内容なんです。
これ、修正をしましょう。
Gemini in Docs side panel の Gemini はインターネットを参照できない(2025.2.7 現在→2025.5.20時点でも同様)
最もラクそうなのは、例えば Wikipedia のリンクも貼りつけて、それも参考にしてもらった上で文章を作ってもらう…って事だと思いました。こんな感じの依頼にしてみましょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/メラビアンの法則 を参考にしつつ、実例を交えながら、メラビアンの法則に関するブログ記事を書いて
返ってくる返答は以下です。
まだ学習中のため、このリクエストにはお応えできません。他にお手伝いできることはありますか?
こう答えつつ何度も聞くと実行しだす事もあるので 10 回ぐらい投稿し、さらに、他のリンクに変更したものを投稿してみましたが、こちらは100%の再現性をもって同じ結果でした。どうやら、現在のところ、ネットを見る事はできないようです。
じゃあ…とこんな修正をしてみました。
間違っている通説の内容にならないように気をつけつつ、メラビアンの法則に関するブログ記事を書いて
できあがったものは以下です。
メラビアンの法則:コミュニケーションを円滑にするためのヒント
「人は見た目が9割」という言葉があるように、第一印象はコミュニケーションにおいて非常に重要です。メラビアンの法則は、この第一印象において、視覚情報や聴覚情報が言語情報よりも大きな影響力を持つという理論です。
メラビアンの法則とは?
コミュニケーションは次の3つの要素から構成され、それぞれが相手に与える印象への影響度合いは、視覚情報 (55%)、聴覚情報 (38%)、言語情報 (7%)であると提唱されています。
メラビアンの法則:よくある誤解
この法則は、「コミュニケーションにおいて、話の内容はたった7%しか重要ではない」という誤解を生むことがあります。しかし、メラビアンの法則が示すのは、第一印象において、非言語的要素が大きな割合を占めるということです。
コミュニケーション全体における言葉の重要性
話の内容が重要でない場面はほとんどありません。特に、ビジネスや学問などの場面では、言葉の持つ意味や論理性が重要視されます。メラビアンの法則をコミュニケーション全体に適用するのは誤りです。
メラビアンの法則を正しく理解する
メラビアンの法則は、初対面や短い会話など、限られた情報の中で相手を判断する際に、視覚情報や聴覚情報が大きな影響力を持つことを示しています。
メラビアンの法則を活かす
メラビアンの法則を意識することで、円滑なコミュニケーションに繋げることができます。
- 表情:笑顔で、相手に興味を持って話を聞く姿勢を見せる
- 身だしなみ:清潔感のある服装、相手に不快感を与えない服装
- 姿勢:背筋を伸ばす、相手に体を向ける
- 声のトーン:明るくハキハキとした声、相手に合わせた声の大きさ
- ジェスチャー:適度な身振り手振り
まとめ
メラビアンの法則は、第一印象における非言語的要素の重要性を示しています。コミュニケーション全体において、言葉の重要性は変わりませんが、非言語的要素を意識することで、より良い人間関係を築くことができます。
うーん。違いますね。間違えています…。
まあ、嘘ばっか書いてくるのは LLM(大規模言語モデル)をつかったサービスの特徴でもありますので、仕方ないっちゃ仕方ないですね。それだけに、参考文献を入れたりして、少しでも正しい(と自分が思う)内容に寄せたいのですが…ちょっと今の機能では難しいようです。ここから先は人間がやるしかないです。
私の結論:何かは書く。が、「嘘つきだ」という特徴は Gemini in Docs side panel だからといって解消するわけではない。
Gemini にブログを書かせて、Docs に挿入する…という機能は確かに存在します。ただ、「嘘つき」だという特徴は Gemini in Docs side panel にも引き継がれています。
つまり、「Gemini in Docs side panel を使って、ゼロから文章をつくる仕事」を考える場合は以下を満たせばよい…という事です。
- 文章の内容に間違いがあっても、それほど問題にはならない業務。(たたき台をつくってくれれば、正確性の担保は後で人間が頑張る…のように)
- 出力したものを Docs に残せることが有益。(そもそも Docs が業務にフィットしている必要がある)
- インターネットの情報を参照するようなタスクは NG(2025.2.7 時点なので、これはそのうち改善されると思います)
あえて「Gemini in Docs side panel を使って、ゼロから文章をつくる仕事」と限定したのは、「Gemini in Docs side panel を使って、既に存在する文章をつかって業務する仕事」については、また別だからと考えているからです。
次は上記の特徴を生かした Gemini in Docs side panel の活用について考えてみたいと思います。
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